なぜSubstackはユニコーン企業になったのか
広告で「ケツを浮かせる」時代から、読者が「ケツを据えて読む」時代へ。世界で起きているインターネットの大転換。
まいど、お騒がせしております。
毎回、ケツのネタかよ!となるのも面白くはないので、今回はひそかに勉強している「Substack」のことについてシェアしたいと思います。
実はnoteでは先に、「Substack」の資金調達から見る、世の中のSNSの使い方の変化を追っています。
正直、今サブスタに来ている多くのユーザーは、ここに期待しているんだと思っています。
なので、この先の話を見る前に、前情報として以下のnoteを読んでいただけると、ここからの話も入りやすいかもしれません。
Substack|個人が書くメルマガに150億円が集まる理由。資金調達データから読み解く、インターネットの「巨大な逆回転」
今回はその続きです。
資金調達の数字だけでは見えにくい、世界で今起きているインターネットの変化について話します。
結論から言うと、世界は「広告で人のケツを浮かせるゲーム」から、「読者がケツを据えて読むゲーム」へ移り始めています。
世界は次のゲームへ進み始めた
これまでのインターネットは、広告を中心に大きくなってきました。
広告がある。
人を集める。
バズる。
炎上する。
疲れる。
この流れです。
広告モデルでは、とにかく見られることが重要になります。
見られるためには、目立つ必要があります。
目立つためには、人の感情を動かす必要があります。
だから、怒り、不安、対立、速報、炎上のような、ケツが浮く情報が強くなりやすい。
ここで言う「ケツが浮く」というのは、思わずスマホを握りしめてしまうような状態です。
「え、なにそれ」
「許せない」
「早く見なきゃ」
「自分も言わなきゃ」
こうやって、落ち着いて読むより先に反応してしまう。
それが広告モデルと相性がよかったわけです。
でも今、世界では違うゲームが始まっています。
購読。
信頼。
コミュニティ。
継続。
この流れです。
一回クリックさせて終わりではなく、また読みたいと思ってもらう。
来月も読みたいと思ってもらう。
この人の言葉なら、少し腰を据えて読んでみようと思ってもらう。
つまり、ケツを浮かせる情報ではなく、ケツを据えて読む場所に価値が移り始めているのです。
Substackは読者を自分で持てる
SNSでは、フォロワーが増えると影響力が増えたように見えます。
でも実際には、そのフォロワーに必ず届くわけではありません。
間にアルゴリズムがあります。
昨日まで届いていた投稿が、今日から急に届かなくなることもあります。
プラットフォームの方針が変われば、発信の形も変えざるを得ません。
つまりSNSのフォロワーは、自分の資産のように見えて、実は借り物の土地に近い。
一方、Substackの強さはメールリストです。
メールアドレスを通じて、読者と直接つながれる。
これはかなり大きいです。
もちろん、メールリストがあれば何でもうまくいくわけではありません。
でも少なくとも、読者との関係をプラットフォームの気まぐれだけに預けなくて済む。
ここがSNSとの大きな違いです。
フォロワーを借りるのではなく、読者との関係を自分で持つ。
これがSubstackの本質だと思っています。
誰がお金を払うかで、世界は変わる
ここが一番大事です。
広告モデルと購読モデルの違いは、機能の違いではありません。
誰がお金を払うかの違いです。
広告モデルでは、お金を払うのは広告主です。
読者は記事を読む人ではありますが、ビジネス上は広告を見てもらう存在になりやすい。
だから目的はクリックになります。
読者は、商品に近い扱いになってしまう。
一方で購読モデルでは、お金を払うのは読者です。
読者が満足しなければ続きません。
読者が信頼しなければ課金しません。
だから目的はクリックではなく、満足になります。
読者は商品ではなく、お客様になります。
同じ文章を書いていても、誰からお金をもらうかで、作る記事は変わります。
これはかなり大きな話です。
広告モデルは「反応」を取りにいく
広告モデルが悪いと言いたいわけではありません。
広告のおかげで、無料で読める記事や使えるサービスがたくさんあります。
ただ、広告収入に依存すると、どうしても反応を取りにいく力学が強くなります。
クリックされるタイトル。
怒りを誘う切り口。
不安を煽る見出し。
対立を生む構成。
読者が満足したかどうかより、読者が反応したかどうかが重視されやすい。
ここでネットは少しずつ騒がしくなっていきます。
気づいたら、毎日何かに怒っている。
気づいたら、誰かの失敗を探している。
気づいたら、読んだあとに何も残っていないのに、疲れだけが残っている。
これが、広告でケツを浮かせる時代です。
広告でケツを浮かせる時代
広告。
刺激。
クリック。
収益。
この流れが強くなると、刺激が増えるほど儲かりやすくなります。
炎上。
速報。
対立。
不安。
こういう言葉が毎日のように流れてくるのは、たまたまではありません。
人間がそれに反応してしまうからです。
そして反応が数字になるからです。
数字になると、さらに表示されます。
さらに表示されると、さらに反応が集まります。
こうして、ケツが浮く情報ばかりが増えていく。
でも人間は、ずっとケツを浮かせたままでは疲れます。
スマホを見るだけで疲れる。
SNSを開く前から少し身構える。
本当は何かを知りたかっただけなのに、なぜか心がざわつく。
この疲労感が、今のネットの大きな問題なのだと思います。
AIは善悪ではなく、反応を見る
ここにAIの推薦システムが入ってきます。
AIは基本的に、「これは善か悪か」を人間の倫理のように判断しているわけではありません。
多くの場合、見ているのは反応です。
クリックされたか。
読まれたか。
コメントされたか。
シェアされたか。
滞在時間が長かったか。
つまり、AIは「良い記事」よりも「反応された記事」を学習しやすい。
普通の記事に120の反応。
炎上記事に5300の反応。
この場合、AIから見ると炎上記事の方が人気に見えます。
もちろん、すべてのアルゴリズムが単純にそう動くわけではありません。
ただ、反応を重視する仕組みでは、刺激の強いものが有利になりやすい。
AIが悪魔だから炎上を増やしているのではなく、反応を見た結果、炎上が増えやすくなる。
ここを間違えると、問題の本質を見失います。
悪いのはAIそのものというより、何を成果指標にしているかです。
投資家は何に期待したのか
では、なぜSubstackはユニコーン企業になったのでしょうか。
単にメール配信サービスだからでしょうか。
私は違うと思います。
投資家が見ているのは、メールではなく、ビジネスモデルの転換です。
広告モデルでは、PVを集めて広告収入を得ます。
その先にはクリック競争があります。
一方で購読モデルでは、読者がいて、継続課金があり、その土台に信頼があります。
つまり、売っているものが違う。
広告モデルが「注意」を売っているとしたら、購読モデルは「信頼」を積み上げている。
ここに価値があると見られたのだと思います。
Substackは2025年に1億ドルの資金調達を行い、評価額は11億ドル規模になったと報じられています。これによってユニコーン企業と呼ばれる水準に達しました。さらに、2025年時点で有料購読は500万件を超えたとも報じられています。
大事なのは、この数字そのものよりも、なぜそこにお金が集まったのかです。
世界の投資家は、広告で人を振り向かせる仕組みだけではなく、読者が直接支える仕組みに未来を見始めている。
私はそう見ています。
投資されたのは、メールではなく未来だった
Substackに投資されたのは、メール機能そのものではありません。
もしメールを送るだけなら、他にもサービスはあります。
大事なのは、書き手が読者と直接つながり、その信頼をもとに収益化できることです。
読者が好きな書き手を支える。
書き手は読者に向けて書く。
その関係が積み重なる。
これは、広告モデルとはかなり違います。
広告モデルでは、たくさん見られることが強い。
購読モデルでは、深く信頼されることが強い。
この違いが、インターネット全体の大転換につながっているのだと思います。
これから必要なのは、ケツリテラシー
ここで、ようやくケツの話に戻ります。
ネットリテラシーという言葉があります。
嘘を見抜く力。
怪しい情報に騙されない力。
情報源を確認する力。
もちろん、それは大事です。
でもこれからは、それだけでは足りないと思っています。
必要なのは、ケツリテラシーです。
ケツが浮く情報に、毎回反応しすぎないこと。
ケツを据えて読める場所を、自分で選ぶこと。
安心して読める書き手を見つけること。
信頼できるコミュニティに身を置くこと。
読んだあとに疲れる場所ではなく、読んだあとに少し整う場所を選ぶこと。
これが、これからのネットとの付き合い方になっていくのではないでしょうか。
広告でケツを浮かせる時代は、たしかに強かった。
でも、ずっとそのままだと人は疲れてしまいます。
だから今、世界では少しずつ逆回転が起きている。
バズから信頼へ。
クリックから継続へ。
フォロワーから読者へ。
借り物の土地から、自分の資産へ。
そして、
ケツを浮かせるネットから、ケツを据えて読むネットへ。
Substackがユニコーン企業になった背景には、この大きな流れがあるのだと思います。
日本では、まだこれからです。
でも、だからこそ面白い。
誰もがバズを追いかけている場所ではなく、少し腰を据えて読める場所をつくる。
それは、これからの発信者にとって大きなチャンスになるはずです。
世界はすでに、次のゲームへ進み始めています。
さて、あなたはどこにケツを据えますか。











ぼくは今思っていることを書く。
読者がなにを欲しているかは関係ない。
別に収益化目指してるわけではないから、一人の読者にでも届いている限り書くかな。
うーん、なんか違うな。
書きたい気持ちがあるから書く。
楽しいから書くかな。
ケツリテラシーってなんだろ?と思ったら、まさにケツリテラシーという言い方がぴったりですね。焦らずコツコツやっていきます∧⑅∧